河合優実ということで鑑賞。
THÉ KLOCK WORX。
【牢獄こそ天国、しかし卒業という地獄】
劇場で見逃したのが悔やまれるほど、素晴らしい作品だった。絶対劇場で観れたら満点だった。
四者四葉の青春。
答辞読む子、軽音部部長、女バスの人、友達とか苦手な子。
悪く言えば最近の邦画にありがちなマイクが拾いづらいような、ぼそっと囁くシーンが多かった。
つまりは自然体を追求した俳優が感じられる映画だった。
それと、自然体の高校生の空気感。会話の濃度とか、話題の対象とか。あと、心配りのやり方とか。
藤原季節が先生役っていうのがすごく良かった。同棲か妻帯者かっていう感じなのもすごく解釈一致。
答辞読む子こと河合優実のエピソードにちょっと感動ポルノ感じた、特に森崎くんの歌声に彼を思い出して涙溢れるシーン。
でも答辞シーンでは2度と戻らない時間に対する言及とか、なんとかあって、涙溢れてしまった。
軽音部部長は甘々な感じ、女バスの子はソフトに別れ、そのほかの2者はモノに刻まれた別れ。
河合優実入場からのまさかの展開に、は、っとなる。
そしてそんな河合優実が一人きり体育館で座り込み、制服を抱くシーンが目に刻まれたままエンドロールに入るので、観客にやわらかいが鋭い擦り傷を残して終わる映画だと思った。
あくまでも卒業までを描くのであって、本作の物語時間内に描かれる「少女」たちは「卒業」しない。
ギャスパーノエが繰り返し言っているように、Time kills all.時は全て殺す。
軽音部部長が、森崎の歌声に関して聞かれた時に、「全てに勝つよ」という旨のことを言って断定したのが好きすぎる。
劇場で観なかったのが悔やまれる、終始美しい俳優たち、そしてありし日の観客の心をくすぐるリアリティ、物語として観客に問うてくる登場人物たちのこころ。そう言えば学生ってこんな感じだ、純粋に良い映画だった、ということでこの評価。
なんか男子が主人公だったら燻った青春とかすぐ湿っぽくなるけど、本作はじめっとする中でもカラッとしていた印象。