JunichiOoya

ワタシの中の彼女のJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

ワタシの中の彼女(2022年製作の映画)
4.0
中村真夕さんの映画を続けて三本見て。
『ナオト、いまもひとりっきり』『愛国者に気をつけろ!鈴木邦夫』という二本のドキュメンタリーに挟まれたのが70分で菜葉菜が複数世代の別人を別様に演じる4本のオムニバス。

大阪アジアンで受賞した『4人のあいだで』(リモートで同窓会飲みをするコロナ下の四人が20年前の学生演劇に想いを馳せる話)から広がった連作短編。

在宅ワークでのフードデリバリーに材をとった『ワタシを見ている誰か』、バス停ホームレス殺人に触発された『ゴーストさん』、足の不自由な母と暮らす盲目の40代女性と特殊詐欺にいちゃんの交流を描く『だましてください、やさしあことばで』の三作が続く構成。

やはり『ゴーストさん』が出色か。
なんと登場するバス停は、あの高橋伴明さんの映画と同じ場所。被害者の60代女性ホームレスを浅田美代子さんが(実事件と同じピンクのTシャツ姿で)演じていて、これは鳥肌ものだった。
中村さんのお話では同じバス停になったのはほんと偶然で、公開が後になった本作の撮影、実は伴明さんのより先に撮ってた! とか。

私には「でき過ぎたあざとさ」ばかりが目立った『夜明けまでバス停で』よりこちらがずうっとリアルでありました。

菜葉菜さんといえばこのところ出演目白押しだけど、『夕方のおともだち』と『夜を走る』の間くらいの位置で大好きな映画になりました。

『TOCKA』、めちゃくちゃ待ち遠しい。
JunichiOoya

JunichiOoya