JunichiOoya

コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ーのJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

1.0
私には悲惨な出来栄えにしか感じられませんでした。

中絶が非合法な状況で、組織的に「施術」を斡旋するグループの実践と、そもそもの非合法化粉砕を裁判闘争で志向する二つの話が並行して進むのですが…

何より情けなかったのはその「グループ」の描かれ方。シガニー・ウィーバーがボスで、それぞれに「クセ」のあるメンバーがチームワーク宜しくことを成していくのですが…。

いや、これはまるで『西部警察』やないですか! ウィーバーさんが完璧に裕次郎にダブる。何にもしないでギロリと睨みを効かせながら座ってるだけ。まさに「ボス」
司法や道徳へのアンチ集団のはずが、実際の絵面は警察権力の暴れん坊たる石原軍団とまるで違わない。
メンバー個々の怒りも苦しみも哀しみも、なーんにも表現されていない。

法廷闘争も、肝心の中身はすっ飛ばして結果だけ。裁判官、肯定側七人はどんな肯定の仕方で、反対側二人はどんな… なーんにも描かれない。

ウィーバーさんがもろ肌脱ぐシーンは、流石に笑いを超えて哀しさのみでした。

60年代末から70年代初頭にかけての、上辺だけの風俗描写はあるのですが徹頭徹尾全てにリアリティがない。ペラペラ。

文字通り身体を張って、気持ちもズタズタにしながら、産む性の自立を体現していった当時の女性たちを舐めきった映画だと思いました。
JunichiOoya

JunichiOoya