のんchan

インスペクション ここで生きるののんchanのレビュー・感想・評価

4.0
かなり好みの作品だった。
しかし実話とは...

それも今作が長編デビュー作となる監督自身の実体験を描いているので衝撃がありました。

作品のテーマは黒人のクィアとしてのアイデンティティ。
決して交わらない母と息子の関係。


フレンチは16歳の時にゲイという理由で母から捨てられた。
その後10年間ホームレスで暮らしている。
しかし25歳の今、このまま意味なく野垂れ死にするわけにいかないと、自身の存在意義を求めて海兵隊に志願する。

そこで厳しい試練に立ち向かうが、ゲイを知られて更に酷い仕打ちを受けることに。

フレンチは母への愛情が誰よりも強かった。どんなに蔑まれようが、母はたった一人しかいない。電話しても無碍なる対応をされ、実家に訪ねても座る場所に新聞紙を引かれる。どんなに冷たい仕打ちでも母を想う気持ちは揺るがない。

母親は鬼のようにも感じるが、刑務官をしている保守的なクリスチャンで自身でも苦しんではいるがどうしても息子を受け入れられない。

鬼教官らのしごきに耐え、理不尽に立ち向かう姿は立派。
とうとう新品の制服を身に付ける日が来たが...



海兵隊のしごきは『愛と青春の旅だち』とそっくりだと思い出した。何十年も変わらない指導なのかな?全く一緒だった。


主演のジェレミー・ホープの演技は素晴らしかった。本人もクィアを公言している。
俳優であり歌手でもある二刀流。
ファッションにも精通していて、メット・ガラでカール・ラガーフェルドの10mのマントを付けて堂々とモデルをした過去がある。
今後注目したい。
のんchan

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