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アバター:ジェームズ・キャメロン3Dリマスターのせっのレビュー・感想・評価

4.8
人間を、全否定。

他の惑星に住むナヴィという部族のアバターにコネクションすることで部族に潜入した男が、ナヴィたちと交流を深める話。

2009年の映画だけど今の最新作と言われても全く違和感がない。改めてIMAXで見て凄すぎて笑っちゃったんだから、次回作どこまで映像が進化してるのかもはや怖い。というか今回ついてたオマケ映像わけわかんないのに「綺麗」という感情だけですでに感動しかけた。

そして歴代興行収入最高と聞くと『トップガン マーヴェリック』がチラつくんだが、トップガンはアメリカ万歳大義のための戦争許す、だったのに対して、『アバター』が真逆なの面白い。戦争の怖さをこれでもかと体感出来るし、ここまで人間自体を見捨てて否定した映画が興行一位なのは人間として誇って良いと思う(笑)

人間の罪の話だけでなく、有害な男らしさvs全てを包み込む母なる大地という構図も面白い。自分の理解が及ばないものを力で支配してしまえば怖くないというマッチョ的な考えは、今のMeTooの流れではよーく出てくるので、映像技術だけでなくそういう意味でもちゃんと先取りをしてる。

ナヴィ族で一人前の"男"になる描写が「一人で立つ」のではなくて「部族の一部に包まれる」だったのも、大佐のマッチョな考えと対極で面白い。そもそも主人公は人間の姿では一人で立てないんだから、ナヴィ族を選ぶことは当然の帰結か。

とはいえ今作最大の悪役、スティーブン・ラング演じる大佐が、観客のヘイトを高めることに貢献しすぎていてちょっとやりすぎと思った(笑)スティーブン・ラング、この後『ドントブリーズ』で本当に最悪な老害になってるのも面白い(笑)
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