テロメア

アトラスのテロメアのレビュー・感想・評価

アトラス(2024年製作の映画)
5.0
死ぬ時は、スタンディングモードで。

古今東西のAIバディものでよくあるテンプレ、言い換えれば超王道な娯楽映画でした。そして真っ先に思い出したのは『ガンヘッド』と言うね(上記のセリフがよぎった)。完全に王道展開なので、必ずどこかで観たあるいは読んだというような、ばりばり既視感が起こるだろうザ・80年代テイスト。だが、それがいい。

(一応、以下ちょいネタバレあり)
何も考えずに、眠れない夜に観るには贅沢なくらい楽しい映像が垂れ流されます。もはやリアル志向でないことは、昔のラノベとか今の異世界転生もの系っぽい頭脳派主人公の演出として、AI相手に冒頭から片手間でチェス勝負に勝つという。もうね、この時点で「あ、これはオレツエー系だな」と気づいて、序盤に出てくる相互リンク型というのはまあ今風だけど、メカデザインからして実用性よりロマン重視ですよ感が溢れ(最終デザインなんか、ロマンしかない)、極めつけはラスボスのブレードよ。ブレードだけならまだしも、みんな大好きな鞭になる剣ですよ。これら総合して、と考えずとも今作がごりっごりのエンタメ映画だと分かるというもの。今作は真剣に観るもんじゃない、感じるんだ、出来れば寝ぼけた頭で。今日見ることが出来なかった夢の代わりに。

ラストの某キャラの再構築シーンも、そりゃあんた、相互リンクなんだから人間が生きていればOSは同じなんだから、そうなるでしょうよ、というお約束を押さえてくれているので、こいつはまったく的な笑みになるのも当然。お約束です。そこまで含めて、安心して見られる近年激減していた王道のエンタメ映画ですよ(最近、ちらほら復活してきていてめちゃくちゃ嬉しい)。何も心配することはない、主人公は勝つ、それだけの話。もはや何を話してもネタバレじゃない。往年のシュワちゃん映画やスタローン映画を見て、彼らが負けると思うかね? 勝つんだよ、それが主人公だから。そしてそれがエンタメ映画だから。まあ、予告編で真面目な映画を予想したら痛い目を見るけど、それもご愛敬。こうしたエンタメ映画はいつもそんな感じだからね。

とまあ、子供経由の強烈な風邪にやられて、ようやく動けるようになってめちゃくちゃ久しぶりに映画を観るか、となり、新作っぽいので今作の予告編をぼへーと見ただけの前情報一切なしで鑑賞。これがよかった。久しぶりにどんな展開になるのか、まったく期待もない状態で映画を観られたのも、本当にめちゃくちゃ久しぶりでした。こういう見方いいな。てきとーにポチり。最低限、ジャンルぐらいは選ぶだけで、あとはこれでいいや感覚。思いのほか、今求めていた超娯楽映画で、まさに80年代に溢れていたあの感じ。いいね、まさにエンタメ映画だった。満足したので、もう寝よう。
テロメア

テロメア