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福田村事件のyaaaのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
4.2
面白いとかの類の映画ではない。けれどドスンとパンチ喰らわされたような感触が味わえる映画体験。
感情がブルンブルン震えわたるという意味では確かにエンタメ。
隠されてきた史実だがその行き先は、わかってるのだがやっぱり怖い。バイオレンスに特化した撮り方でないのにやっぱり怖い。
前半の100年前の普通の村描写が「何これ?ながぇ」と退屈になりそうになるが、これがあるから衝撃度合いが増してる。100年前はこんな感じでこんな考え方でしたの今とは違う時代でいくなら、私たちとは関係無いと安全圏から観てられるが、それらに放り込まれる田舎に帰って来たインテリや間男の異分子が現代の感触へのブリッジとなって「昔のこと」とならずいつの時代も人間ってのは…となる上手さ。
鑑賞中に気づくが、平凡な日常が伏線、前振りの嵐ですべてかけ算であの事件を構成していく要因になっていく脚本はハッとさせられる。
特殊な状況下に登場人物を放り込んで真上から俯瞰してるような感触はキューブリックみたいだが、ここがドキュメンタリーを撮ってきた森監督の「らしさ」なんだろう。
100年前の出来事でした!で終わらない今も地続きな想いは伝わりすぎて恐怖する。
存在感推しのハイブリッドなキャスティングやタブーを描いてもドン引かれない作品の公開への持って行き方なんかに大島渚監督みたいだなと。
失礼なこと書くが若松プロ丸出しで製作されていたら多くの人々には届かなかったと(私は観ますが)。
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