他のガンダム・シリーズの劇場作品同様、テレビシリーズの世界観やストーリーと矛盾が生じないよう、脈略の無い「単発」の敵が登場。登場人物はテレビ版と共通している物の、どこか「SEED」とは違う作品を観ているような感覚があるのは確か。
しかし、そうした劇場版ガンダムあるあるの典型でありながら、企画から約20年を経て公開されただけあって、しっかりと作りこまれた作品になっており、ガンダムの歴代劇場作品の中では良く出来た部類に入ると思う。
「SEED」から登場するキラ、アスラン、ラクス等に加えて、「Destiny」からの登場人物にも見せ場を作っている事にも驚いたし、ストーリーに関しても「Destiny」の延長線上で、遺伝子操作である「ディスティニープラン」に対して、人生の価値は本人のが決めるものというメッセージに繋げていく構成は、ちょっとダサいぐらいなのだが、一歩間違えればメロドラマのようなダサさもまたSEEDの魅力なのだと、改めて思い出してしまう。
本作は、近年の劇場版ガンダムでは珍しい一般料金設定、つまり子供や障害者に対する割り引きが適用される形での上映だった事も評価したい。だからこそ、初心者対策として、ナチュラルとコーディネイターの説明ぐらいは挟んで欲しかった。