ランコ豚乙女

正欲のランコ豚乙女のネタバレレビュー・内容・結末

正欲(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

良い映画かと言われたら良い映画だし、一度見ておくと良いとは思う。
ただわたしは原作がすごく好きだったので、この映画は原作の四割くらいだな、と思った。未読の方はこれを入口にして是非原作を読んで欲しい。
映画では稲垣吾郎演じる啓喜の人間味というか、葛藤とかが意図的に描かれていないように思えた。分かりやすく「理解のないマジョリティー像」を描きたかったからだと思うし、実際動画になるとあぁこんな感じの父親いるよな……と生々しさが刺さりはした。でももうちょっと優しさを出しても良かったかなと思う、この辺は私が稲垣吾郎自身にあまり優しさを感じていないからなのかもしれないけれど……そういう意味で言ったら人選はすごく良かったと思う。映画ならではのシーンといえば、風船を膨らませられない父親を鄙びた目で見る息子、良かったですね。
あとはなんてったって夏月を新垣結衣が演じてくれたことが本当に良かった。磯村勇斗の佳道も。
群像劇だからどこに重点を置くかが難しいだろうけれど、大也と八重子が会話するところが一番好きな場面なので、もっとちゃんと見たかったな……とは思ってしまった。役者の力で良いシーンにはなっていたけど。ここも分かりやすく改変されていた。映像にするってこういうことかとも思った。
修が死なない改変はびっくりしたなー、あそこで修の"正常さ"と夏月と佳道の"異常さを自分たちで改めて理解するシーンが良かったのに。いやでも二時間に収めるには仕方ないのか……とも思う。ギリギリ許せるレベルの改変。夏月が佳道の家の窓ガラスを割ったのはやりすぎだと思った。

原作を……読んでください……私からは以上です。
ランコ豚乙女

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