あさ

正欲のあさのネタバレレビュー・内容・結末

正欲(2023年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

なんとも〜な感じ。原作気になってたけれども未読のまま。受けて入れてもらえない生き辛さも、受け入れられない理由もどちら側も描かれていたのは良かったかな。とは言え、説教臭さなのか、説明的なのがハナにつくのか、その辺りは若干しんどい節あり。

結婚や妊娠、世の当たり前としてある共通認識。それを強要されるのは辛いけれど、一人で生きていくには限界ということ。誰にでも起こりうる感情かしら。最初は「一人の人生だって良いじゃない」とすら思って観ていたけれど、理解されない苦しみが続けば一人で生きていく事にも活力が湧かなくなるというものか。何となく分かるような気もする。圧倒的に「一人で生きていくことの何が悪いの」スタンスで生きては来たけれど、ラストシーンには説得力がある。誰かが待っている、抱きしめてくれる、側にいる安心感。全然本編とは関係ないけれど、ちょうど橋本愛が人間には何故「間」という漢字がつくのかと綴っていて。人は人の間に生きている、この世の全ては「関係性」で成り立っていると書いていた。それを断絶して器用に生きることも選択肢だが、それが全てを捨てるトリガーにもなりうるよなと、この辺はすごく心が複雑になった。人として生きることってマジで難しすぎる。とは言え、やっぱり一人で生きていくことだって人によっては立派な選択肢なので「誰かが居るといいなあ」というのも恩着せがまし…くはないのか…などと思う節もありあり。

難しいよなあ、小児愛は少なくとも嗜好として認知されるけれど、無機物への愛は「冗談」としか思われない。前者は被害者を生んでしまう時点で、どうしても私は受け入れられない。手を出してはアウト。線引きができないのはアウト。でも後者は被害者を孕まない場合が多いのではと思うし、今回みたいな巻き添えが悲運にも起こった時に一番理解されない。ふとダムを愛している女性がいたの思い出したな。
吾郎は間違いなく、彼の正義で息子を大事にしていたと思う。これも本当に難しい。子供の「やりたいこと」って何なのか、勿論それが動画なのであればやれば良いけれど、世の中には本当に悪魔が存在するのだ。でも母ちゃんも相当キてたんだろうな。身体の弱い息子がようやく楽しそうにしたから、彼女には彼女なりの正義があったんだろう。正解がわからなかった。何が正しい親なのか。どこまでパーフェクトにこなせばこの世で子を守れるんだろうか。ある意味、子育てに求められるスキルも上がってるんじゃないかなと思う節もある。節ばっか書いてる。映画と原作はだいぶ印象が違うようで、やはりこれは活字で読まないと原作者の伝えたいことは描ききれないのだろとしみじみ。本を開く気力が来い。
あさ

あさ