Miri

正欲のMiriのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
3.7
朝井リョウの原作を読んで頭を殴られるような衝撃を受けていたため、どう改変されているか怖かったけど、映画は小説と感じ方が少し違っていてそれもそれで体験として興味深かった。
最初に感じたことは冒頭から聞こえる水の音と水の描写。原作を知っているからこそそこにゾワゾワする感じ。これは本当に映画でしか感じることができないなと感じた。
この社会における異性愛規範というのは大多数にとっての正しい欲(性欲)であり、マイノリティと言われているコミュニティのなかでもそのなかで正しい欲があることがそのコミュニティにおける居場所となる。結局コミュニティにおける多数決によって人の欲が決定され、全くのごく少人数のコミュニティを無視・排除していく。最後の”いなくならないから”が誰かと繋がりあえていることがいかに尊いことかを感じた。
一方で、小児性愛者の描写もあったが、果たして誰かに危害を与えて欲を満たすことも果たして多様性として捉えていいのかという部分に対する問いかけが印象的。だからこそこの社会における”正しさ”を表現しているバリバリのエリートでシス男性、マジョリティの代表である検事の寺井啓喜が主人公であることが重要なんだなと感じた。
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