おたば

正欲のおたばのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
4.0
この作品をなんの前情報も予備知識もなく、
ただNetflixの一覧に出てきたからということで観ました。

先日の日本アカデミーで助演男優賞を受賞した時の人でもある磯村勇斗、稲垣吾郎や新垣結衣らが演じています。

水のように滲みいる、水のようにのしかかる「多様性」というものの在り方や考え方について考えさせられる映画でした。

最近の日本では多様性という言葉が、広まり認識されてきていますが、それを僕ら一人一人がどれだけその意味をしっかりに認知できているのか?問いただすような作品。

稲垣吾郎は検察官なのかな、お堅い職業だけに頭もお硬くて、不登校気味な息子に上手く優しい言葉をかけられず自分の価値観を押し付けてしまう父親です。

新垣結衣、磯村勇斗は地元の高校の同級生。肉親の事故により帰郷した磯村と、地元で生きることにすら疲弊していそうな新垣は、同級生の結婚式を機に思い出とお互いの気持ちに近づいていきます。

もうひとつ、大学を舞台にしたダンスサークルで一心にダンスに身を置く佐藤寛太。そして男性に恐怖心を抱える東野絢香。

この3つのそれぞれの物語が最終的にひとつの結末に結びついてくるわけです。

とりあえずガッキーはどうあっても可愛い。
この役は周りに結婚や子供の幸せを見せつけられたりすることに辟易としていて、理解し合う友達もいない孤独に1人回転寿司に行っちゃう30代独身女子を演じているんですけど
目は死んでるし何となくそういう感じあるのにガッキーだからもう可愛いんですよ、ずっと。ずるい。

あとはこの大学の東野絢香さん。正直全然知らない役者さんなんですが、役もハマり役だと思う。佐藤寛太へ思いをぶつけるシーンとかすごく良かった。

昨今、特にLGBTQとかっていうジェンダー論に関しての理解は広がってきていると思います。
鈴木亮平の「エゴイスト」も話題だったし、おっさんずラブなど(なぜかゲイものが多い気もするが)そういう価値観に突っ込んだ作品や番組を目にする機会が増えた。

でもそれ以上に僕らが想像できない以上に人間って色々あって、どこまでを多様性と受け入れる準備が僕には出来ているのだろうか。
そんなことを考えるきっかけになりました。

最後のシーンはとても印象的でした。
普通を押し付けてきた人間が
普通のことを失っていたことに気づく

普通とはなにか。きっとよく考えてもいなかったのかもしれない。
おたば

おたば