このレビューはネタバレを含みます
マイノリティの連帯を描きつつ、マジョリティの特権を感じさせてくれる映画だった。
吾郎ちゃんがやってる警察パパはいつも正論を唱えてて確かに一部は正しいとも思うが、どうにも手放しには受け入れ難くて、それは常にその意見の視点が特権を持つ側の意見だったからだなあと感じた。
男性であり、警察官って権威ある立場であり、異性愛者であり、家父長制の頂点である父親であり。おそらく不登校の息子を受け入れられないあたり自信の学生生活もその立場からスムーズに過ごせた側なんだろうな、と感じた。
それが悪いのではなくて、マジョリティであり特権を持つ側の人間ならば、自分と違う生き方や意見を持つ人間に対して、聞く耳を傾けることが必要だと思う。親子関係なら尚更。
息子が急に「ユーチューバーやりたい、学校いきたくない」って言ってきたら確かに「お?」とは思っちゃうけど、それでも何も聞かずに「そんなのだめだ」って切り捨てるんじゃなくて、なぜそう思ったのか、その選択肢以外にも希望を叶える術はあるんじゃないか、を親子で考えられるはずだと思う。そういうことをしないと心理的安全性は育まれないし、家庭もそりゃうまくいかないだろうと思う。
水を愛するって性的指向や恋愛指向は実際にあるのかなあ。小児性愛は上下の力関係がある時点で絶対にダメだと思うが。
ラスト、ガッキーがパートナーの指向性について頑なに言わないのがすごく良かった。アウティングを絶対にしない姿勢というか。
映画を見る前はもっと、承認欲求をえぐってくる系の映画かと思ったので、正しい(性)欲ってなんだ?って問いかけてくるメッセージは意外だった。