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フェイブルマンズのhrmのレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
3.8
アカデミー賞受賞式前に観ておきたかった2本のうちの1本。

ビジュアルデザインから「ヒューゴの不思議な発明」っぽいファンタジックな映像かな?と思っていたら。めちゃくちゃヒューマンドラマ。
ネガティブな響きになってしまうけど、映像としてはかなり地味。
でも、読んで字の如く。
地味には地味の良さがある。

町山さんみたいな細かな引用、オマージュなんかは私にはほとんどわからない。
主人公一家の苗字である「フェイブルマン」。Fabelmanの fabelの意味は「寓話、作り話」であることからも、全てが事実という受け止め方もできなければ、描かれなかった部分だって当然ある。
幼少期から青年期にかけての20年前後を151分で全て描き切るなんてできるわけがない。
謳い文句だって「自伝"的"作品」。
ただ、スピルバーグの心の傷になっている出来事を、自身の手によって描き世に出した部分が凄く沁みている。

50代半ばくらいのおにいさん方が「自分史を書きたくなる」と話すのをちらほら聞いていて、「フェイブルマンズ」もそういうことなのかなって思ったり。

私の中で「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」と比較しようとしてしまう気持ちがどうしてもあるけど、30代の良さと70代の良さなんて比べようがない。

一昨日たまたま、町山さんの「フェイブルマンズ」についてのスペースを聴けたのもあり、観終わってすぐ抱いた感想は、スピルバーグも凄いし、読み解こうとするパワーと知識がある映画評論を生業としている方々も凄いということ。
私は映画業界の末端で生きているのがしあわせなので、そういう方々が発信してくれるものを参考にしつつ、私なりのやり方で映画を感じようと思っています。
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