ロックストロンゴ

フェイブルマンズのロックストロンゴのネタバレレビュー・内容・結末

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画は、劇中でボリス伯父さんがサミー少年に言った、
『映画だろ?言葉で説明せず映像を見せろ!』まさにこの言葉通りの映画だと思えました。
カメラワークの気持ちよさは言うまでもなく、
感動するシーンや悲しいシーンではセリフですべてを説明せずに、
表情や絵で魅せてくれます。

また、父バート、母ミッツィ、ベニーおじさんの三者の関係を単純な善悪で描かなかったところも本当に素晴らしいと思います。
ベニーおじさんがサミー少年にカメラをプレゼントしようとした瞬間は『このやろ~!!』
と思っていたのですが、その後のハグのシーンで『この人も色々と悩んでるんだ…複雑な感情なんだ…涙』となり直後の『釣りはいらないから~!』のシーンで『おじさん!!涙』
となりました。

お父さんのバートを演じたポール・ダノさんがアカデミー賞ノミネートされていない点に個人的には納得がいきませんでした。それぐらい彼が好きになりました。
優しい言葉や態度をしているのに、どこか瞳の奥に悲しみを秘めていて、繊細で複雑なキャラクターを見事に演じられていて、どんどんミッツィやベニーおじさんよりもバートに感情移入していきました。あとキャンプで火を起こすシーンのいたたまれなさ…

最後に、いじめっ子ローガンを演じたサム・レヒナーさん、
災いを招くといわれたボリスおじさんを演じたジャド・ハーシュさん、
このお二人も本当に最高でした。
ローガンが初めて映画に映る自分を見たときの複雑な感情、そしてその後の一瞬の友情。
ボリスおじさんの、変人かと思ったら、誰よりもサミー少年をわかってくれている芸術家。
この二人は本当に最高でした。
ローガンは本当にギリシャ彫刻かと思いました。

余談ですが、冒頭で流れた映画『地上最大のショウ』を自分は初めて見たのですが、列車衝突シーンを見て『こんなすごい映画があるのか!!!早く帰ってこれ見たい!!』という気持ちが沸いたせいで、正直序盤はなかなか集中できませんでした。