スピルバーグで育った世代にとって、ある種のご褒美映画。子供時代から光る映画監督としての小技の数々が楽しい。中学生くらいでもう『プライベート・ライアン』の原型みたいなのを撮ってたりするという末恐ろしさ。
一方で生まれる映像制作によるトラウマ。見たくないものまで描写する才能の厄介さ。言葉ではなくフィルムを通して自分の気持ちを母親に伝えるくだりは、映画全体の肝ともいえる見事過ぎるシーン。
辛酸舐めまくりのフェイブルマン(=スピルバーグ)だが、ラストのサプライズゲストの登場もあって、最高の気分で劇場を後にできる。