ムック829

フェイブルマンズのムック829のレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
4.2
スティーブン・スピルバーグの自伝的映画。

面白かった!いや、これがスピルバーグの自伝的映画だと認識しているからこそ面白く感じた、が正解かな。
スピルバーグが凄い監督なのは知っていても、彼の身長や生い立ちや、映画監督に至るまでの過程も全く知らなかったわけで。
サミー・フェイブルマンが本名だということも知らなかったし、いろいろと知れたこと自体が嬉しい。
ちなみにフェイブルマンには「寓話」という意味があるそうで、タイトルがダブルミーニングになっているんですね。

スピルバーグになる前のサミー少年が、初めて観た映画が「地上最大のショウ」。
列車と車の衝突シーンに心を奪われ、ミニチュア模型を使って自分で再現映像を撮ってしまう。
もうこのくだりで興奮してしまった。その再現シーンの迫力、構図の素晴らしさときたら…。
そんな衝突シーンに惹かれた彼が「激突」を撮ることになるのことは、ある意味必然だったんですね。

サミーが映画作りにハマっていく過程だけでなく、家族の赤裸々な一面も描かれていたのは意外。
奔放な母親とのやり取りを見ると、スピルバーグが心根の優しい人間なのが伝わってきます。

「出来事には意味がある」母親の発したこの台詞は特に印象的。
都合の良い言葉にも聞こえるけど、辛い時には励まされる言葉でもあるのかな。

スピルバーグが映画作りにはまった理由を赤裸々に綴った、なんとも興味深い作品でした。
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