ロシアによる侵攻を最初に受けたウクライナのマリウポリ。多くの記者が撤退する中、唯一残ったAP通信の記者が残した20日間の記録。
TVでは到底知り得なかった真実がそこにはあり、戦争による真の被害者は一般市民なんだなと思わされた。
その映像は余りにも痛々しく不条理で、子供の遺体に泣きつく親にはこちらも貰い泣きしてしまう。
「誰だか知らないがこの戦争を始めた奴はクタバレ!」死体を処理する人の言葉が胸に響く。
「戦争はX線のようなもの。人の内面を写し出す」この喩えは面白い。
物資に困窮して普段買い物をしている店を襲撃する人々。追い込まれた時に人間の内面が露になるのが恐ろしかった。
医療従事者の方々は本当に凄い。電気も水も鎮痛剤もなく、死人が続々と増え続ける中、それでも患者を救おうと頑張り続ける姿に胸を打たれた。自分だったら心が折れてしまうだろう。
「この映像が局面を変える手立てになる」と記者を必死で逃がした軍隊も素晴らしい。
しかし「この映像があっても何も変えられない」と悟っている記者。それが事実なのがなんとも悲しい。
悲惨だなと思いはするものの、何かするかといったら何もしない、そんな人がほとんどなのだから。私もそうなのだから。