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フェイブルマンズのmiholyのレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
3.0
初めて見た映画に夢中になり、そのシーンを再現して自ら撮り、やがて友人主演の短い映画を製作…という部分は、いかにもスピルバーグの自伝という感じ。絵にかいたような映画オタクの少年青年期。

現実に起こった(または演じた)様子をありのままに映し出している映像なのに、人々はその向こう側にある何かを感じ想像する。そして喜び涙し、心を動かされる。
時には映画は残酷な真実を観客に見せつけ、また時には現実とは程遠い虚像をも作り出す。
経験と技術を重ねるうちにそれを悟り、どんどん映画を好きになっていくサム(というかスピルバーグ青年)。
「栴檀は双葉より芳し」を描くだけではなく、映画の本質というものに気づいていく様がとても興味深い。

あと家族に関する描写。
この家族は形の上では壊れてしまうのだが、心の繋がりという点で最後まで「家族」であり続けた。
それぞれが相手の考えを深く洞察し、受け入れ、許し、愛し続ける。
タイトルを「フェイブルマン家の人々」とした所以がそこにある。
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