佐藤克巳

春雷 前篇 愛路篇の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

春雷 前篇 愛路篇(1939年製作の映画)
3.0
メロドラマの女王川崎弘子主演に相応しい佐々木啓祐監督作品の総集篇であるが、結構お腹いっぱい感があってこれ以上耐えられなかった印象。確かに、追っ掛け近衛敏明嫌さに川崎が途中下車した為、上野駅で待つ彼氏夏川大二郎とのすれ違いの発端となり、夏川が、父自殺で落胆した木暮実千代を自分の部屋に同居させた事が地獄の始まりだった。そして上京した川崎が部屋を訪ねたが、木暮の存在に失望し近衛を頼り、後日レストランでこの四人が顔合わせした時、夏川がその場を逃げ出したが、気持ちは既に木暮に傾いていた疑念が生じてしまった故、愛一筋に反した不愉快さが終始残った。なお木暮の令嬢の我儘ぶりはリアルだったし、夏川弟三井弘次の兄に対する怒りが唯一救いだった。
佐藤克巳

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