『aftersun/アフターサン』
オンライン試写にて視聴。
主演のポール・メスカルはアカデミー主演男優賞にノミネート。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
『ムーン・ライト』のバリー・ジェンキンスがプロデュースしている。
A24配給。
・
・
・
11歳の夏休み、ソフィは、
離れて暮らす31歳の父親カラムとともに、
トルコのリゾート地にやってきた。
まぶしい太陽の下ビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密で幸せな時間を過ごす。
20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらせてゆく。
・
・
・
ストーリーは本当にこれだけ。
2人が遊ぶ姿をひたすらに追うカメラ。
お互いに撮影し、記憶と記録に残っていく、
夏の日。
笑顔や水飛沫の合間に見え隠れする、
父親の表情の翳り。
どこか行きづらさを抱えているのか。
そしてソフィは、
すでに大人の扉を開き始めたハイティーンの若者たちを盗み見ては、胸のざわつきを覚えている。
見るものに自分の子ども時代を想起させる、
懐かしい日々。
あの頃の父は何を思っていたのか。
私は何を思っていたのか。
多くは語らない。
点滅する映像とクイーン&デビット・ボウイの「Under Pressure」の曲、歌詞と共に、
胸に大きな波が押し寄せ、
切なさが溢れてくる。
涙が一気に溢れ出ました。
『アフター・ヤン』のヤンの記憶の穏やかな温度とはまた違う、何だろう…
私たちの奥底に眠っている切なさを、
強く揺さぶる波のような。
すごい力。
ポール・メスカルのオスカーノミネート以外、正直ノーマークだったこともあり、
ものすごい映像体験にただただ圧倒されました。
ポール・メスカルのノミネートは納得の演技。
彼の、苦悩する背中、眩しそうに娘を見る眼差し。
忘れられない。
そしてソフィ役のフランキー・コリオがまた自然すぎる演技で素晴らしかった…
天才なのかしら…
演出が巧みだったのか？
たぶん両方。
今年暫定ベストの作品でした。
すごい新人監督、素晴らしい新人俳優に出会えて幸せです。
#aftersun
#アフターサン
#シャーロットウェルズ
#ポールメスカル
#フランキーコリオ
#A24
#人間ドラマ
