ミノジ

aftersun/アフターサンのミノジのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.5
『aftersun/アフターサン』
シャーロット・ウェルズの長編監督デビュー作

中洲大洋映画劇場にて
いつもは別居しているらしい父と娘。異国トルコでのふたりのバカンスは、足りないものが多いようで、満たされてもいる。しかし何か一滴でも加われば溢れ出しそうな緊張感を帯びている。
バカンスの背景には90年代の懐かしい曲。20年後の娘ソフィーを挟みながらおたがいの瞳にうつるバカンスの、「記憶」の映画。
父カラムを包む死の気配。
この映画の感想を言葉にできないというか、したくないような気持ちがわきあがっている。カラムやソフィーについて、説明的なセリフもない。スクリーンはふたりをそこにあるように映し、私は無表情でそれを眺めながら、いつのまにか彼らに心を寄せている。
そして自分の記憶すら掘り起こされ、胸の奥を締め付けられる。
親子といえども他人で、別の人間であるから、心は計り知れないし、触れ合う距離にいてもどこまでも遠い。お互い、どんな言葉を投げ合って、どう触れるのか。
あ〜ことばにできないな〜。よい映画だった。それは間違いない。
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