このレビューはネタバレを含みます
━━あの時、あなたの心を知ることができたなら。
シャーロット・ウェルズ監督作品。
20年前の父との思い出の旅行の記録を現在の娘の視点からビデオカメラを通して観るという構成の映画。
全体を俯瞰して観れば何事もない仲の良い親子の旅行記であるが、ところどころに不穏な雰囲気が点在しておりずっと嵐の前の静けさのような感覚になる。
娘が幼すぎるが故に当時は気づくことの出来なかった優しい父親の背景が見てる側には伝わってきて、1度父親の方に感情移入してしまうとなかなか重く辛い映画になる。
娘の幸せと成長が何よりの望みだが、それを自分では見届けることの出来ない遣る瀬無さ、身を削る思いでなんとか娘に何か残してあげたいという親心、娘との最後の時間が終わってしまうという寂しさの全てが演技だけで表現されていて見てるいこちら側の心に重くのしかってくる。
父娘揃って演技は素晴らしくかなり見ている側に考察を委ねてくる難解映画だが強くおすすめのできる作品。