記録用
1回目と2回目で全く違う印象を受けた映画。
1回目は完全にソフィ視点で観ていたから思春期を迎えた女の子のちょっとした秘め事を覗き見ているような感覚だった。異性が気になり始めるお年頃。私はソフィが父親のことを異性として意識していて淡い恋心を抱いちゃってるのかなと思いながら観ていた。ソフィのあの大人びた雰囲気や視線、漂う危うげな空気感がそう思わせたのかもしれない。
父親が何かを隠している不穏さは感じてはいたけど真相は分からないままで、もしかして父親は父親で娘に対してなのか同性に対してなのかは分からないけど性に対する葛藤があるのだろうか…くらいに思ってた。
最終日に二人がダンスをするシーンで挟み込まれるチカチカと点滅する映像が何を意味するのか理解したいのに、誰が誰とどうなってそこで何が起きているのかが絶妙に観えなくてヤキモキした。
この映画は何を伝えたいんだ…とよく分からないまま迎えたラストシーンで父親が扉の向こうへ消えていく後ろ姿に心を鷲掴みにされた。
心を掴まれたまま落ち着かない気持ちで幾つかレビューを読んでみて私の解釈がだいぶ見当違いだったことを知った。
改めて父親視点で観てみないことにはこの映画は語れないと思って連続で2回目を視聴した。
えぐかった。何もかもが1回目とは全く違って観えた。彼がどんな気持ちでソフィと過ごしていたのか…。
父親と娘、同じ場所で同じ時間を過ごしていてもソフィの目に映る世界とカラムの目に映る世界はこうも違うものなのかと愕然とした。
最後の夜に二人でディナーを食べているときソフィにいい休暇だった?と問うカラムの言葉で堰を切ったように涙が溢れてきた。
1回目では何も観えてこなかったチカチカ点滅する映像の中に二人の姿をしっかり捉えることができたのも不思議だった。映画を観ながら号泣したのはいつぶりだろう。
あんなに可愛くてパパのことが大好きな娘がいても彼が扉の向こうへ行ってしまうことを止めることは出来なかった。もしかしたら自分が父親であることに追い詰められていた面もあったのかもしれない。簡単には語れないことだけど、どうして…という思いが私の胸にも残された。
1回目をみた直後はなんでこんなに評価が高いのか分からなかったけど2回目をみて納得した。
夜になるのが怖くて心が壊れてしまいそうな感覚に耐え抜いて朝を迎えたことがある人には深く刺さるのかもしれない。