このレビューはネタバレを含みます
冒頭、11歳の時どんな大人になると思ってた?と娘に聞かれ、言葉を濁す父。父親カラムはおそらく鬱病みたいなものを抱えていて、子供の頃に思い描いていた大人とは程遠い今の自分に落胆、更には真っ暗の海に泳いでいくシーンやベランダの柵に立つ行動から、希死念慮もあった。おそらくカラムは娘に別れを告げた後亡くなったのだろう。
大人になれば、愛する人がいれば、子供が生まれれば。それでも長い時間をかけてじっくりと心に溜まった暗いものは晴れてくれない。
映画全体が大人になったソフィが昔父親と撮影し合ったビデオを見返しながら当時を振り返っているもの。つまり、父親が陰で一人ないていたのもソフィは見ておらずソフィの勝手なイメージでしかない。当たり前の事だけど人が一人でいるときに何をしているか、他人は知る由もないということを思い知らされる。
娘に同年代の男の子とキスをしたと告げられた父の返答が優しくて、あぁなんでこんな素敵な人が苦しまないといけないんだろうと辛くなった。
景色が美しすぎたのでこの場所に行ってみたい。