YutaKoizumi

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版のYutaKoizumiのレビュー・感想・評価

4.0
どこか不具合を抱える登場人物たちがドタバタ絡み合ってハッピーエンドを迎える群像劇。

各章にタイトルカットが入るのもあり、演劇的。前シーンの芝居の会話声は残りつつ、黒画面になったり、タイトルが入ったりする演出は独特の余韻、勉強になった。

美しい映像描写で紡がれるコメディ。
登場人物たちに訪れる悲劇の3日間は、客観で見ると喜劇なのである。

チチの、愛想よくみんなに好かれるがみんなに疑われる人物造形が上手だった。

終盤、オフィスの窓辺に座るモーリーは『ロスト・イン・トランスレーション』のスカヨハ、運転シーンは『ドライブ・マイ・カー』の元ネタ?
明け方、黒い影で描かれていく人物たちが好きだった。
他にも、喋る女性2人を鏡で撮るところ、ラストのエレベータ、オフィスの消化器ランプの廊下、歩道橋から見下ろした車の往来のヘッドランプ、プールサイドのシガレットキッスなど。

作家がタクシーに後ろから衝突して、そして自由に気付き解放されるシーンがチャーミング。
YutaKoizumi

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