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コンビニエンスストアのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

コンビニエンスストア(2022年製作の映画)
3.5
【コンビニというプランテーション】
モスクワ郊外のコンビニエンスストア「プロデュクティ24」。ここではウズベキスタンから来た移民が住み込みで働いている。妊娠していようが、昼夜働かされている。逃げようものなら袋叩きにされ、足に釘が撃ち込まれられる。警察もその状況を黙認している。本作はコンビニパートとウズベキスタンの綿農園パートに分かれている。コンビニパートの閉塞感は、観ている方も真綿を詰められているような苦しさを感じる。客は横暴な態度で酒を求める。「じゃあな」とウォッカ瓶を持って去ろうとするが、金が足りない。妊婦はヨロヨロしながら、金を求めるが、強く払い除けられてしまう。外にそのまま出ることはなく、すぐさま店内に呼び戻される。コンビニの随所にある翳りからは他の移民労働者の手がニョキッと伸びており、狭い中鮨詰め状態となりながら、ただただ労働者として搾取されていく様子が描かれる。

これが後半になりウズベキスタンの綿農園になる。陽光が差し込んでおりコンビニと打って変わって美しい画が広がっているが、ここでも労働搾取が描かれる。闇と光の画を並べ、そこから共通する闇を導き出しているのが新鮮であり、コンビニがいかに現代のプランテーションであるかに説得力がある。

本作を観ると、この題材こそ日本で描くべきではないだろうか。今やコンビニへ行くと、外国人労働者が流暢な日本語を使いながら汗水垂らしながら働いている。日本人ですら膨大なオペレーションをこなすコンビニバイトは過酷だ。それを外国語を使って接客する移民労働者。この壮絶さはなかなか映画として描かれ、問題に光を当てられることはない。これは日本でも紹介されてほしいなと感じた。
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