このレビューはネタバレを含みます
下高井戸シネマで観たパトリシオ・グスマン監督の『チリの闘い』以来のチリ映画
1976年、ピノチェト独裁政権下のブルジョワ階級の女性カルメンは司祭から青年を匿うよう頼まれた。
恐怖政治のリアルを一般市民の目から映し出した作品。
映画には表立っての暴力が一切ないが、荒らされた車内や些細な会話のやり取りから、誰かに見られている恐怖心や拘束されるのではないかという差し迫った状況が伝わってくる。
ピンクや赤の色使いが印象的で、何か忍び寄るような不気味な音楽も緊張感を作り出していた。
最後のお祝いのケーキのローソクが、まるで鎮魂の灯火のように感じた。
この独裁政権が1990年まで続いたこととなると、象徴的なラストだと思う。