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冒険者たち ガンバと7匹のなかまのmitakosamaのレビュー・感想・評価

4.6
何故か高校の時、学校で上映会があったんだよな。当時の実行委員会はよほどセンスがあったと見える。

今作はやはり神がかってる。TVシリーズの総集編作品でコレを超える物は無いんじゃないか?
70年代のテレビシリーズで、10年後くらいに公開された総集編だけど、2010年代末の昨今の目で観ても、絵が古く無い!!!

やっぱりさ、出崎統の演出・小林七郎の背景・芝山努の画面設定など、個性あるクリエイターが実力を発揮したことでしょう。
絵柄の鮮度でいえば、小林七郎の描く背景美術は一向に衰えない。描き込み過剰のリアリズムじゃない。アーティスティックに筆のタッチを大胆に残したからこそ、時代に左右されない普遍的な美術となった。

省略の美学、とでも言ったら良いのか?
これは出崎演出にもいえる。緩急の付け方や止め絵・ハーモニーなどリミテッドアニメで培ったテクニックの数々。

さらに出崎曰く、今作は虫プロ系と東映系の技術の最も完成された融合だとのこと。東京ムービーのAプロ班の作画に、出崎の虫プロ系演出との合体を考えれば、今作の完成度の高さも納得、というもの。

例えばさ、「海が見たい」と言ったガンバが、実際に青い海を見るまで結構時間がかかる。夜だったり曇っていたり。船酔いを押してやっと見る青い海の美しいことよ。
小林七郎の背景動画の波に、それまで焦らしに焦らす出崎の手腕。素晴らしいね。

また、キャラもみんな立ってる。ガンバ・ボーボ・ヨイショ・ガクシャ・シジン・イカサマ・忠太。
ノロイに教われた島のネズミを助けるため海を渡るガンバ達一行。
要は七人の侍なんだよね。そして出崎はノロイに白鯨のモーヴィーディックをイメージしたそう。ストーリーもワクワクする要素いっぱい!

その上、曲も良いんだせ。クィーカがなる中でガンバガンバ!ガンガンガンバ!と歌が流れるとそれだけで体温が上がる。

こういう良作は定期的に子供の目に触れるようにしてほしいなぁ。ジブリがニュープリントを上映して、日テレで毎年放送すりゃ良いのに!
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