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理想郷のせっのレビュー・感想・評価

理想郷(2022年製作の映画)
4.0

優雅な田舎暮らしに憧れスペインの山間の村に移住して来た夫婦が、閉鎖的な村の住人と風力発電の誘致を巡りトラブルに遭う話。

村といっても風力開発投票の総数が9票という、ちょっとした団体レベルの村。主人公達の脅威となる村人も、日曜劇場に出てきそうな頑固だけど話は通じて頭もキレる田舎のおっちゃんみたいな感じではなく、視野が狭く社会というコミュニティに属したことがないから精神が中学生ぐらいで止まってるまじで話が通じない圧倒的他者。

とはいえ田舎者だからバカにしてるとかではなく、多分このヤバい隣人はどこで生まれ育ってもこうなってたように思う。同じとこに住んでても、綺麗な家でかなり裕福な暮らしをしてる村人もいるし、田舎都会に関わらずちゃんと長期的な計画を立てて日々工夫や努力を重ねる人が豊かな暮らしを手に入れられる。

10人にも満たない村でも、多分考えやライフスタイルはバラバラだったのに、力で全てを支配できると勘違いしてる狂人がいるから村が保守的になってるんだろうなぁ。自分の人生が惨めかどうかは全部自分で決めることだし、自分の行動の結果だからな。

それで第2章は、奥さんがこの村での暮らしを自分の人生にしている様子が割とじっくり描かれる。旦那さんの陰に隠れているように思えた奥さんが1人でしっかり野菜を育て、夫の捜索もし、生計を立て、殺人犯が隣に住んでるのに物怖じしない。一人で生きていくとはこういう強さが必要なんだなと身に染みた。
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