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REVOLUTION+1のodyssのレビュー・感想・評価

REVOLUTION+1(2022年製作の映画)
1.0
【日本映画人の低レベルがあらわ】

安倍元首相が暗殺された事件を、実行犯を中心にして描いています。

周知のとおり、犯人は母親が統一教会に多額の献金をしており、そのために家庭生活に支障を来していました。

そういう点の描写はまあまあですが、それを超えるものがない。

この事件の最大の問題は、なぜ犯人がバカな母親や、統一教会幹部ではなく、安倍元総理を狙ったのかという点であるはずです。実際、作品内でも描かれているように、犯人の兄は統一教会幹部を狙っている。これはまっとうな姿勢と言えるでしょう。

ところが、制作側は最後に犯人の妹のセリフによって、「安倍元総理は日本の民主主義を壊したのだから悪い」という単純なイデオロギーに事件を還元してしまうのです。

一種のトンデモ映画でしょう。

念のため、安倍首相がすばらしい政治家だとか、そういうことを言いたいのではありません。安倍氏の政治姿勢を批判するなら具体的にどの政策がどうだというふうに取り上げるべきなのであって、ここでは極めて未熟な犯人の精神状態に制作側が同化しているのですから、それは日本映画人がいかに未熟な人間にあふれているかを表現していることにしかならない、と言っているのです。

ほかの業界ならまともに相手にされない人材が、映画界に吹きだまりのように集まっているのでしょうか。きわめてお寒い状況だと評すべきでしょう。

言い換えれば、監督の足立正生をはじめとする、日本映画人の旧態依然たる政治姿勢が露呈しているのです。

よど号ハイジャック事件が起こって北朝鮮を理想郷とする極左学生が将軍様の国に逃亡したのが1970年、連合赤軍事件で極左の自滅が明らかになったのが1971年から1972年にかけて。

監督の足立正生はそれと類似した極左団体・日本赤軍に関わっており、その日本赤軍は1970年代にいくつもの事件を起こしています。この映画を見れば、そういう人間がどれほど知的に貧しいかが分かります。
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