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エリザベート 1878のクリームのレビュー・感想・評価

エリザベート 1878(2022年製作の映画)
3.5
ヴィッキー·クリープスって、憂鬱が似合う。彼女の演技は素晴らしかったです。主人公のエリザベートが40歳を迎え、爆発した苦悩を1年間で描いているのですが、彼女は60歳まで生きたので、史実に基づくフィクションなのだと思います。気の毒な部分はあるものの立場を捨てる気などなく、当時の庶民に比べたら、贅沢な悩みで全く共感出来ない主人公でした。

バイエルン王家の次女エリザベートは、16歳でオーストリア皇帝フランツ·ヨーゼフ1世の皇后となり、美貌を讃えられました。1877年に40歳の誕生日を迎え、皇帝や世間から求められる自分に嫌気がさし、苦悩し、精神的に不安定となります。それを淡々と描きます。



ネタバレ↓



当時の女性の平均寿命は40歳だったそうです。エリザベートは体重増加をしない様に食事制限に過度な運動、50cmのウエストの為、コルセットをきつく絞め上げます。ヘアスタイルも豪華に盛る為、長い髪を切りません。
彼女は、行動が非常識です。自分が寝付けないからと幼い娘ヴァレリーを起こし、無理矢理、乗馬をさせたりします。
皇帝に呆れられ、息子のルドルフを連れ英国のスペンサー家の別荘へ行きます。2年前に知り合った馬術家のベイに色目を使い、毎日乗馬三昧。息子のルドルフに咎められますが、やめません。落馬し愛馬の脚が折れ銃殺になり、戻ります。
その後、バイエルン王でいとこのルードヴィヒ2世の別荘に滞在し、彼を誘惑しますが、求められていない事に気づきます。彼は同性愛者でした。
侍女マリーが、結婚を申し込まれ、自分には最後のチャンスで結婚したいと言いますが許しません。我が儘なビッチ💢
医師の診察で、ヘロインを勧められ、日常的にヘロインを注射し、タバコの本数も増えます。侍女マリーを自分の影武者に仕立てて行事に参加させます。
自慢の髪を切り、侍女マリー、イーダ、フィニと4人で大きな船に黒いドレスで乗り込み、エリザベートは、海へと身を投じました。

苦悩を描いていますが、何しろ恵まれた環境で、皇帝も優しいので、過度な美意識も追い込んだのは自分だし、緩める事も可能だった様にも思えて、響かず。我が儘な皇后のもがきにしか見えませんでした。年齢と共にどうにもならない事は解るので、その辺は気の毒だったけど、それを中身で補おうとしなかった、哀れな女に見えました。しかもフィクションで、ラストは死んでなくて、今までの自分との決別的な事を描いた様で、なんだかスッキリしない作品に思えました。ヴィッキーの演技は素晴らしかったです。本当に微妙にイヤな女を良い具合に演じてました。
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