さちこ

聖なる証のさちこのネタバレレビュー・内容・結末

聖なる証(2022年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

おもしろかった

“物語”が重要キーワードだと思いました


この作中の少女は「兄と関係を持った罪で兄は死んで、地獄にいる お前が断食して祈ることで地獄から救えるかもしれない」という“物語”を聞かされる
周りに家もない隔離されたような環境ではおそらく家族が世界の全てなので、家族から聞かされた“物語”を鵜呑みに受け入れるしかない

その“物語”に入り込んでいない看護師からすると、母親から口移しで食べ物をもらっているから食べてるじゃん!ってなっても「母親の神聖なキス」なので食べていないことになるし、少女はレイプされたトラウマと罪悪感で自殺しよう(またはそれを家族に強要されている)としているように映るけど、本人は断食によって祈りを捧げているんだって信じている

お偉いさんたちも「食べなくても神のマナだけで生きている奇跡の少女!」という“物語”の中に少女を見ているので、看護師の客観的な事実を受け入れられない
何のために観察させたんだって思いますけども

なので彼女を救う方法はひとつ
その“物語”の文脈の中に入ってエンディングを書き換えるしかない

なのでアンは死んで、ナンとして目覚めるというあのまばたきがとても重要な意味を持っている


看護師にも母親として死産を経験したという“物語”があって、だからこそ目の前の助かる命を助けたいという強い思いが働いたんだなぁ



冒頭と最後が映画のセットから始まるからどういうこと!?って思わされるんだけど、
映画を観る側は、セットの中で役者が台本をもとに、演じているとわかっていながらも、作品の世界に入り込んで悲しくなったり怒りを覚えたりする
それが度を超えると境目が曖昧になってしまう人もいる

例えば『ハリーポッター』マルフォイ役のトムフェルトンは、当時のファンから嫌がらせを受けたり脅迫をされたりしたらしい
トムフェルトン本人は何も悪いことをしていないのに、ファンは断食する少女のように”物語”の中に入ってしまっている

それは今回の登場人物たちと同じこと
聖書という”物語”に入り込むというのはつまり信仰なんだけど、何を信仰するかはその人の”物語”=人生によって変わるよね って

私は何がいいたいのかわからなくなってきてしまいました
でも相手の”物語”があるんだなって分かっておけば争いは減りそうですよね
さちこ

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