千年女優

梟ーフクロウーの千年女優のレビュー・感想・評価

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)
4.0
李氏朝鮮時代の中期。優れた腕を持つ盲目の鍼治療師で、病を患う弟を想って宮廷入りして16代国王の仁祖に仕えるギョンス。貧しい出自から控えめに職務をこなす彼が、丙子の乱での顛末から清国に捉えられて八年ぶりに帰還した仁祖の長男である昭顕世子の暗殺現場を目撃して宮廷に渦巻く陰謀に巻き込まれる様を描いた歴史スリラーです。

大ヒットを遂げた歴史映画『王の男』の演出などでキャリアを積み重ねたアン・テジンの長編映画監督デビュー作となる2022年公開の作品で、帰国後わずか二か月で死亡して様々な文献から毒殺が囁かれる李氏朝鮮史に残るスキャンダルをベースにした緊迫感のある物語が受けて300万人超の動員を記録。韓国内の映画祭で計25冠に輝きました。

宮廷の入り組んだ人間関係を説明する序盤こそややゆったりとした立ち上がりながら、いざことが始まってしまえば怒涛の展開で観る者を緊張と緩和を揺さぶる激しいジェットコースターへと誘います。盲目の基本と応用を実践する主人公だけでなく全中心人物のキャラが立った作劇もお見事で、求められるもの全てに十二分に応える一作です。
千年女優

千年女優