傑作。朝鮮王朝時代の宮廷内の怪死事件をベースにしたミステリーサスペンス。
いやこれは本当にビックリする位面白かった。脚本が上手過ぎでは…？？？
夜目が利く梟に明るい場所では視力を失い夜の暗闇の中では視力をやや取り戻す事が出来る盲人の主人公をなぞらえたタイトルまで秀逸。
王の実子である世子が毒殺される現場を目撃した鍼医師の主人公ギョンス(リュ・ジョンヨル)はミステリー作品(『落下の解剖学』もこれ)で謎解きのハードルとなる様な役割として時々見られる設定の"見えない目撃者"にあたるけれど、そこに一捻り加えられた彼の"半"盲人という設定がミステリーとしてだけでなくギョンスの弱者としての処世術的な強かさや遣る瀬無さを際立たせていて人間ドラマとしてもとても深みがあって惹き込まれた。
史実ベースであるが故にラスト事の真相が明らかになっても全く気は晴れない胸糞展開は覆らないけれど、それも含めて極上の味。
というか割と序盤だけの多くない登場尺にも関わらず世子様(キム・ソンチョル)の『死ぬべきではない人が死んでしまった』感がエグ過ぎるんすよ…そしてそれと同時に際立つ老害isマジ老害感というか、心身共に衰えつつある己を認めず未来ある優秀な若輩を妬み必死に権威の椅子にしがみつく老人の醜さ浅ましさたるや……。
役者の演技も勿論だけど諸々の描写が上手過ぎて拍手しか出来ない。すごい。ブラヴォー。
主演のギョンスを演じたリュ・ジョンヨルさん特に昼と夜を目の演技で使い分ける感じ凄く上手かったんだけど、どっかで見た事あるな～って思ってたら出演作結構観てましたね…毒戦のラクだったんか…びっくり…納得というか流石だけど髪型と髭で大分印象違うね…？
兎も角も素晴らしかった。極上のミステリーサスペンス。観られて良かった。
