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梟ーフクロウーのKANAのレビュー・感想・評価

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)
4.0

TLに流れてきて直感で面白そうと思った作品。

17世紀、朝鮮王朝時代。
盲目の鍼灸師ギョンスは病の弟の治療費を稼ぐため、宮廷で働き始めた。
盲目という弱者的な立場や盲目ゆえの鍼スキルの高さで重宝されていたある夜、王の息子の死を目の当たりにする。
居合わせた時の証拠により殺人疑惑がかかり、窮地に陥った彼は闇の中で謎めいた死の真相に迫ろうとする・・

終始引き込まれっぱなしだった。

韓国サスペンスとて派手なアクションや惨いバイオレンスはなく、一貫して静寂で薄暗く落ち着いたトーン。
ギョンスにとっての闇と音と触覚の重要性を際立たせるかのように。

何より設定とシナリオが秀逸。
最初、見えないのになんでそんな??というシーンがあるけど、それらはしっかり伏線。
生前の世子との友情シーン、ほっこりした〜。…それも伏線。
ギョンスだけが知る真犯人を観る側に確信させてからも、二転三転が用意されてて飽きさせない。
ヤツに左手で書かせるために鍼治療で右手を痺れさせる作戦なんかスリル満点。

見えない、言えない、疑われる…で、もどかしいハラハラドキドキが続いた末のラストはカタルシス。

『タクシー運転手〜』でも共演したリュ・ジョンヨルとユ・ヘジン、それぞれキャラが憑依してて素晴らしかった。
ギョンス役ってある意味二重三重の演技をしないといけないわけだし。

単に宮廷内のいざこざでなく、大要因として全盛期の清朝との政治的駆け引きが背景にあるのがまた面白いところ。

昔の韓国の宮廷衣装も興味深かった。ハットみたいな被り物とか。


p.s. ガチガチにシリアスでクールなムードな中、唯一コメディ担当だった職場の先輩マンシク(パク・ミョンフン)。愛すべきキャラw
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