原作 スティーヴン・キング
監督 ブライアン・シンガー
というだけで軽いミーハー魂で観始めたのに、のめり込んでしまった。
LAに住むトッド(ブラッド・レンフロ)は文武両道で優秀な高校生。
授業でWW2のホロコーストについて学んだ彼はナチスの残虐行為に異常な関心を抱き、親友や彼女そっちのけで図書館で当時の資料を読み漁っていた。
そんなある日、潜伏するナチ戦犯の老人ドゥサンダー(イアン・マッケラン)と偶然出会い奇妙な交流が始まる・・
本でしか知り得なかった虐殺の生々しいリアルを聞くにつれて好奇心に歯止めがかからないトッド
アメリカ市民として慎ましく暮らしていたのに、心の中にしまっていた残虐性が少年の好奇心によって復活してしまうドゥサンダー
潜在的な"悪"を互いに刺激し合って覚醒し、相手の弱みを掴んでぶつかり合うというねちっこい構図。
頭がキレる上、狂気を持ち合わせる2人の心理戦・マウント戦がものすごくサスペンスフルで面白い!
一番の見どころはドゥサンダーがトッド に強要されてナチスの制服(トッドからのクリスマスプレゼント)を着用して軍隊式行進を行うシーン。あの敬礼ポーズをしながら…
2人の陰湿な狂気に寒気がする。
無力なみすぼらしい老人から邪悪なナチスの顔が蘇っていくイアン・マッケランの怪演には圧倒されっぱなし。
今は亡きブラッド・レンフロの冷酷&狡猾でいて繊細な演技もすごくよかった。
トッドの表情は私の中で『Dune Part 2』でオースティン・バトラーが演じたフェイド=ラウサのそれと被った。
いがみあいながらも共依存する形で互いに崩れていき、
それでもトッドは主席で高校を卒業。
そして…
不穏な危うさを感じるラストもよかった。
にしてもチープな邦題…。Apt Pupilとニュアンスが全く違う。
これは原作こそ面白そう。