コブヘイ

猿の惑星/キングダムのコブヘイのレビュー・感想・評価

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)
5.0
新たなる猿の惑星シリーズ開幕!
スタートは仲間を救うため一人激走する予想外のアポカリプトアクション大娯楽作!

「猿の惑星」の前日譚として作られ、大成功したシーザー3部作。
そこから1968年公開の第1作目に繋げようとする新シリーズ。
綺麗に終わったシーザー3部作に続くそんな本作はシーザーが死んで伝説となり、300年後にジャンプ。
人間の建造物が緑に包まれる中、鷲を育てて自然と暮らすイーグル族の主人公のノア達3匹が登場。どうやら村の儀式で高い場所にある鷲の卵を取りに仲間と共に出かけている様子。ノア、アナヤ、スーナ3匹それぞれの個性が動きや話し方でわかる実に丁寧な開幕。
何とか卵をとって村に戻る途中、早々に人間の気配を用意しつつイーグル族の生活を描写。猿たちに感情移入させてから、先ほどの人間を追ってきたであろう別の猿軍団が村を強襲。ノアはかろうじて生き残るものの、村の皆は軍団に連れ去られてしまう。
父親を殺されたノアは決意を胸に、仲間を助けに猿軍団が戻る王国へと旅出つ、とまあ首こそ切り飛ばされないものの、あの傑作『アポカリプト』を連想するお話。

鷲を育てて、魚を燻製にして保存など自然と共に生活する村と、金属を使った鎧や電気ショックを放つ武器を持った王国との対比構造を作ったうえで、NETFLIXドラマ『ウイッチャー』で好演するフレイヤ・アーランさん演じる人間ノヴァが怪しい存在として配置させて、対立する要因と謎を追加させている辺りがシーザー3部作より人間との関係が気になる作りになっていて実に上手い。

途中で先生役となるオランウータンのラカが合流。ノアにシーザーと人間の歴史を説明しつつ、奇妙な旅の仲間となってノブァとの距離が少しづつ近づく流れがまた良い。
そこから一作目のオマージュのような猿による人間狩りが発生。
狙われるノヴァ。ノヴァを探すノアと敵将シルヴァ。 三竦みから飛び出すノヴァの行動が中盤の大サプライズ。ワオ!

そこから更に話は転がり、舞台はキングダムへ。
登場するプロキシマスシーザー。
シーザー伝説を信仰に利用して王国を作りながら、人間の歴史を学んでそれを利用したりと、暴君ながら絶対悪とは見えないバランスが現実的で新しい。プレキシマスシーザーに飼われている人間がノヴァとの対比として配置されているのも皮肉でありドラマに深みを持たせていて味わい深い。そしてまたノヴァの衝撃な行動へと繋がる妙でもある。

悩みながらも悟り、覚醒するノア。鷲の使い方が予想できても感動的。 疑いながらもノヴァと協力して反撃を開始するノア。やがて見えてくるノヴァの目的と猿と人間の関係。
そして迎えるクライマックスでは、体格で明らかに勝るシルヴァとノアのバトルは安易な格闘にせず、舞台を使った見事な決着の付け方を堪能。
最後に用意されたプレキシマスシーザーとのラストバトルでは分かっていてもやはりぶちあがってしまう決着。
そういった盛り上がりをきちんと味わった上で、やや後味の苦いエンディングがまた良い。

相手を理解して共存できる世界を作りたいと願うノアとあくまでも人間の誇りを擦れない(ような?)ノヴァ。 二人の関係から猿と人間は今後どんな未来が待っているのか!
続編が待ちきれない見事な新シリーズ開幕戦大勝利な作品でした!
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