ヒノモト

同じ下着を着るふたりの女のヒノモトのレビュー・感想・評価

同じ下着を着るふたりの女(2021年製作の映画)
3.7
シングルマザーの母親と娘のいがみ合いの上に起きた車による轢き飛ばし事故から、すれ違う親子関係の顛末を描く作品。

単純にどちらが悪いと決めつける訳ではなく、母親が娘にかける思いと娘が母親らしさへの希望の食い違いや、一女性としての生き方の世代間ギャップ、女性同士だからこそ見えすぎてしまう互いのあらのようなものが、幾重にも重なって描かれ、繊細な物語になっていました。

ただ、描きたいことに溢れているのか、カットの切り替わりが早く、展開も早いため、理解が追いつかないところも若干見られました。

これが、母と娘という関係性を体感していないと理解できないニュアンスなのかもと感じる部分もあり、いがみ合いながらも、同じ下着は関せず着られてしまう部分も含めて、理解しがたい部分でもありました。

それぞれが、他に愛を求める相手がどこに許容して、どこまで許容されないかの見せ方は良かったですし、ラストシーンも大変良かったです。

全体としては、すべてのシーンが必要充分ではあるのですが、もし男性側の理解の歩み寄りを得ようとするなら、描くべき場面を絞って、時間をかけて描ききる必要があったように感じました。
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