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⻘いカフタンの仕立て屋のnoのネタバレレビュー・内容・結末

⻘いカフタンの仕立て屋(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

モロッコの人びとの暮らしと、宗教的抑圧と、愛情と。街の乾いた風や食事の香りまで伝わってくるような、手縫いの刺繍のような繊細さが良い。
ミナは、夫ハリムの新しい同性パートナーとしてユーセフのことを認める。ハリムとユーセフは、旅立つミナに白い装束でなく青いカフタンを着せる。

(以降ギルバート・グレイプのネタバレあり)
ところで、不治の病に罹っていたミナがユーセフと和解して死を迎えるという構図について、なんだか『ギルバート・グレイプ』(1993) の母親のことを考えてしまった。
ギルバートたちは所謂ヤングケアラーで、父親は他界しており、過食症の母親は介助が無ければ暮らせないほどの肥満体型で引きこもっていた。その母親が物語の終盤で突然死んでしまって、ギルバートたちは深く悲しみながらも彼女の亡骸ごと家を燃やし、大きな枷から解放されるという締め括りなのだが(私はこれを良い悪い面白いつまらないとかで言い表すことができないままずっと心に重く残っている。日本語DVDのパケに「さわやかな感動」と書かれているけどまったく共感しかねる)、ちょっとミナが抑圧の象徴っぽい立ち位置になってしまってる描かれ方と重ねてしまう。
それでも、ギルバートの母親は死んでもなおルッキズムから解放されないままだったことを思えば、ミナは死後に戒律から解放されて青いカフタンを着れたので、まだ全然良いのかもしれない。
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