あまのうずめ

銀平町シネマブルースのあまのうずめのレビュー・感想・評価

銀平町シネマブルース(2022年製作の映画)
3.9
友人の木村に借金しようと頼んだ近藤猛だったが断られ、その隙にバッグをホームレスの佐藤に奪われてしまう。食べるのにも困った近藤は公園でNPO団体の黒田に声をかけられ、生活保護申請の手助けが出来ると言われ食事を提供される。そこには佐藤もいてバッグを返してもらい、隣の梶原に声をかけられた近藤は梶原の映画館「スカラ座」内の部屋に泊めてもらうこととなる。


▶︎脚本はいまおかしんじ。廃館寸前のスカラ座を舞台に関わる面々の群像劇で、最近富に涙脆いワタクシは何度となくティッシュのお世話になった。

人の温かみとクスッと笑えるほんのちょっとのユーモアと生活保護とホームレス問題、そして大きな映画愛に溢れる作品だった。期待値ゼロで鑑賞を始めたが思わぬ拾い物をしたという気分になった。拾い物は広めて返したくなる。この作品自体も『情けは人の為ならず』的な連鎖があった。

手持ちカメラでの撮影もあったのか人物の距離感が目線となり自然に画面の中に入っているかの様な体験となり、印象的なシーンも数知れずあり、心穏やかに映画鑑賞を楽しめた。

WOWOWの『城定秀夫監督特集』にて鑑賞