あまのうずめ

METライブビューイング2022-23 ケヴィン・プッツ「めぐりあう時間たち」のあまのうずめのレビュー・感想・評価

3.4
1923年ロンドン郊外リッチモンド、作家ヴァージニア・ウルフは新作『ダロウェイ夫人』の書き出しに悩んでいる。1999年ニューヨークではクラリッサが死期の近い昔の恋人リチャードの文学賞受賞パーティーのため花を買いに出掛ける。1949年ロサンゼルスではローラ・ブラウンが夫の誕生日の支度を始める。


▶︎ルネ・フレミング、ケニー・オハラ、ジョイス・ディドナートの3ディーバが、ケヴィン・プッツ作曲、フェリム・マクダーモット演出で結集。今作はマイケル・カニンガム原作小説で、映画版ではニコール・キッドマンがアカデミー賞主演女優賞を受賞する他9部門でノミネートされたことでも知られる。ルネの発案で舞台化させたとのこと。

メトの新作として今作を選んだ力量を十分感じることが出来た。オペラは専らメトでのみの鑑賞だが、こうやって古典も生まれて来たのだと思うと感慨深い。

映画に寄せて来てるなと思う箇所も多々あったが、3時代の3女性を一つの舞台上で観られるという舞台ならではの演出は見どころだったし、時間軸を移動させる際に合唱団とダンサーを起用したのも効果的だった。

ルネのひさしぶりの歌唱とリッチー役の少年カイ・エドガーの歌唱に魅せられた。