宇尾地米人

カンフースタントマン 龍虎武師の宇尾地米人のレビュー・感想・評価

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名だたる俳優、監督、武術家たちが顔を見せ、1960年代以降、香港映画の地位を高めてきた"顔が映らないアクションスター"ことスタントマンの存在功績について、数々のアクション名場面を見ながら言及が集まっていくドキュメンタリー。

勉強よりも武術。教育よりも武道。そんな連中が集まって、チームが出来て、どうかしているような洗礼を受けながら刺激や競争が起こり、カンフーやアクションで映画を面白くするため、撮影という戦争が続いていく。

武技・格闘・空転・落下・爆発・衝突。階段を転げようが、ガラスを突き破ろうが、マジ当てで脱臼しようが、落っこちて全身を強打しようが、誰がどれだけの命懸けかという競争心が滾って止まない。それがスタントマン。

どんなに危険なアクションでも「ノー」と言えない。出来ないと言うなら辞めるしかない。顔は腫れるし、眉毛は焼け落ちるし、半身麻痺が残ったり、最悪、死ぬ。そうして無名のヒーローたちは静かに消えていった。それもスタントマン。

最高のショットにするため。一生忘れられない体験だという誇り。あゝこれがスタントマン。そんな彼らの命懸けの仕事に挑む姿に、発汗血涙が誘発され、体中が脱水して乾いていく。子どもの頃、無邪気に愉しんでいたアクション映画の見方が変わりかねない、全力の記録映像。
宇尾地米人

宇尾地米人