ハンスウ

カンフースタントマン 龍虎武師のハンスウのレビュー・感想・評価

4.0
個人的には、とてもワクワクさせられるドキュメンタリーでした。昔観てた香港アクション映画でアクションやスタントマンとして活躍していた人たちが出てきて苦労話や思い出話を語るんですよ。その複数人のスタントマンたちはみんなどこかで繋がりがあって、どこかで関係しているものどうしなんだそうです。つまり、香港のスタントの業界は狭い世界だといことです。

わたしはジャッキー映画ばかり観ていて、もろにジャッキー育ちなので、ジャッキーが京劇学校出身だということも昔から知っていましたが、香港のスタントマンはほとんどが京劇学校出身者で子供の頃から厳しい訓練を積んできてるんですよね。その京劇学校っていうのはたぶん、他の国にはない文化じゃないかと思うんですよ。京劇っていう伝統芸能を学ぶんだけど。超人的な技能を求められる芸だから子供でも容赦無く仕込まれるんだと思います。

わたしはNHKで京劇の舞台が放送されていたのを観たことありますけど、その時の主演俳優の演技が素晴らしすぎてストーリーもよくわからないのに感動して泣いたことあります。京劇学校をでた人たちもそんな風に京劇の舞台に出演する日を夢見て稽古をしていたんだと思いますけど、香港では誰も京劇の芝居なんか観ない。だから仕事もないってことでみんな映画でスタントの仕事をするようになったんだそうな。

香港のカンフー映画はやっぱり80年代が全盛期だったそうで、インタビューに応じているその複数人のスタントマンたちが香港映画について語ることによって業界の盛衰がわかりやすく描かれるように理解することができます。

一番最初に火がついたのは言わずもがなブルー・リーなんですけど、彼が亡くなるとピタッと火が消えたかのようにスタントの仕事がなくなったと、その後にジャッキーが登場してようやく80年代が始まったというわけです。それからは誰もが競い合うように危険なスタントに取り組むようになって香港映画が大きく盛り上がって大忙しになったということです。しかしやがてピークが過ぎていくという、そんな業界の流れがこのドキュメンタリーから見えてきます。

裏方のスタントマンといっても香港の人たちは個性的な人たちばかりですよね。高い身体能力を身につけている上に強い個性があるからこそオリジナリティの高いアクションシーンがたくさん生まれたのでしょう。楽しすぎる映画をたくさん作っていただきありがとうございます🙂
ハンスウ

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