連載が終了した漫画家深澤は時々以前付き合っていた、猫のような目をした元カノを思い出す。
思い通りにならない日々に不満をぶつけるように苛立ち、仕事もうまくいかない、売れっ子漫画家の編集者である妻とも離婚寸前だった。
ある日猫のような目をした風俗嬢ちふゆに出会い、深澤の世界が動き始める。
いつも不機嫌で世界を憎んでいるような深澤の心の闇。
彼のことを理解しようとしても理解できなくて、敵ばかり作ってしまう彼が唯一心を開けるのはちふゆだった。
声が小さくて聞き取れない、自分のことを話さない。
漫画家である職業は好きではないのに、漫画に対しての熱意と執着が恐ろしくて圧倒される。
彼が何故そこまでこだわるのか?どうしてこのような人間なのか、最後まで観ると答えが分かるのだけれど、妙に納得してしまう。
分かり合えない、分からない。
一歩踏み込んではいけない境界線を覗き込むと、彼の恐ろしい一面が見えて来る。
本当に分かってくれる人の存在は貴重だけれど、知られたくなかった本性を見たような気がした。
鬱々とした雰囲気に飲み込まれそうなほど暗い映画。
趣里が魅力的で素敵でした。