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零落のWNTのレビュー・感想・評価

零落(2023年製作の映画)
3.5
連載が終了した漫画家深澤は時々以前付き合っていた、猫のような目をした元カノを思い出す。
思い通りにならない日々に不満をぶつけるように苛立ち、仕事もうまくいかない、売れっ子漫画家の編集者である妻とも離婚寸前だった。
ある日猫のような目をした風俗嬢ちふゆに出会い、深澤の世界が動き始める。

いつも不機嫌で世界を憎んでいるような深澤の心の闇。
彼のことを理解しようとしても理解できなくて、敵ばかり作ってしまう彼が唯一心を開けるのはちふゆだった。

声が小さくて聞き取れない、自分のことを話さない。
漫画家である職業は好きではないのに、漫画に対しての熱意と執着が恐ろしくて圧倒される。

彼が何故そこまでこだわるのか?どうしてこのような人間なのか、最後まで観ると答えが分かるのだけれど、妙に納得してしまう。

分かり合えない、分からない。
一歩踏み込んではいけない境界線を覗き込むと、彼の恐ろしい一面が見えて来る。

本当に分かってくれる人の存在は貴重だけれど、知られたくなかった本性を見たような気がした。

鬱々とした雰囲気に飲み込まれそうなほど暗い映画。
趣里が魅力的で素敵でした。
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