いずぼぺ

スイマーズ:希望を託してのいずぼぺのレビュー・感想・評価

スイマーズ:希望を託して(2022年製作の映画)
3.7
世界中に散ったシリア難民、660万人以上。
まるで出エジプト記のよう。

この作品の主人公姉妹の壮絶な祖国からの脱出ルートや、「難民」としての待遇やそもそもの偏見など心に重く響く。タイトルから想像していたようなスポ根ものではなかった。

「難民」となりたくてなったわけではない。誰だって生まれた国で健康に育ち安全に暮らすことができることが理想だ。何もかも捨てて「難民」となることを選ばざるを得ない状況が問題なのだ。
一方で「難民」を受け入れる側とすれば、人道的にできる限りのことをしたいし、すべきなのだ。しかし、作中にもあったが手続きの煩雑さや制約の多さはより多くの方が避難することの妨げとなっているが一方では受け入れ国の治安や経済にとっては大切な関門でもある。とはいえ日本における入管施設のあり方は報道にあったとおりであれば、入管審査というより人権擁護の基礎的なところから改革が必要だとおもう。
どの立場かで取組むべき課題や見えてくる問題は違うので、時として摩擦もおきてしまうのが「難民問題」の複雑化をすすめてしまう。
人間は争わずにおれんのだろうか。

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