スカポンタンバイク

クリード 過去の逆襲のスカポンタンバイクのレビュー・感想・評価

クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)
4.2
なんか、あんまり評判が良くない印象があるのだが、私は結構良かったというか、好きだった。

スタローンが出ない問題について、思う所がないといえば嘘なのだが、アドニス・クリード個人の話をする上では、強引ながらもばっさりロッキーを切る必要があったと言われれば、それはそれで納得できる。
特にクリード2がそうだったのだが、結局あれはロッキーの因縁の話で本来主人公のアドニス・クリードの話がかなりどうでもよい事になっていた。アドニスにしてみればドラゴは父を殺した仇なわけだが、ボクサーをしていないドラゴをブチのめすわけにもいかず、その思いをドラゴ息子にぶつけようもないという事で、構造として無理がある作品がクリード2だったと思っている。結局、ロッキーを引っ張り続けるという事は、物語の中心はロッキーになり続けて、クリードは常に2世としての立場を背負う羽目になっていたかもしれないというのは想像に難くない。

そう考えると、アドニス・クリードを主役にちゃんと「ロッキー」をやりたいというのは、志は買いたいし、そういう作品としては(脚本的に苦労してるなぁとは思いつつも)良かったなぁと受け入れられた。
話としても、「ロッキー1」のロッキーがもっと勝利に拘る男だったら、という再解釈になっており、アドニスがデイミアンをボクサーとして育てるというのも、あの「ロッキー5」への再挑戦という感じがあって、「あ、本当にちゃんとロッキーをやろうとしてるんだな」と思えた。
「甘い」と言われれば、確かにそうなのかもしれない。アドニスの自業自得感とか、クリード母の葬式にロッキー来ないのおかしいだろとか、確かにツッコミ所は挙げれは色々あるのだけれど、アドニス・クリードという「ロッキー」シリーズと切り離した時の1人のボクサー、キャラクターとして描きたいという所は十分伝わってきたし、納得できる話になっていたんじゃないかと、私は思った。
あと、ボクシングのアニメっぽい表現とか、出崎統的な一枚絵で決めてくる感じとかは、私は結構良かったと思う。私は結構アニメに触れる事が多い人生だったからというのもあるかもしれない。ナルトも途中まで好きでした。

最後のシンジダーイはまぁ、「ホント、マイケル・B・ジョーダン仕方ない奴だな」と笑って観ました。w