スプリングス

啄む嘴のスプリングスのネタバレレビュー・内容・結末

啄む嘴(2022年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

物流倉庫で働く女性・矢崎舞衣。
職場では会話も無く、淡々と仕事をこなす日々。
ある日、家の鍵を職場に忘れて取りに帰った矢崎は、怯えた様子の女性・中島栞と出会う。
「私、逃げてきたんです」
怪我をした中島を気にかけ、行動を共にすることになる矢崎だったが───。
というお話。

終始不穏。
不透明。
中島が語るすべてが不明瞭。
彼女だけに見えている地獄は、傍からみれば現実味を帯びず、お伽話のよう。

ホラー映画ではないものの、居心地の悪さをずっと感じる映画でした。

印象的だったのが、逃避行に付き合うことになった矢崎の肝の座りよう。
どんな場面でも慌てた様子が一切ない。
一見頼もしいようにも映るのですが、もう人生に疲れてしまっているようにも見えました。

そんなドライな彼女が何故中島の逃亡を助けるのか、、。情に絆されたのとは違う気がします。
多分、今日を意味あるものにしたかったのかも。
地味な仕事を終え、家の鍵を忘れて、取りに戻って、、何してんだろってタバコ吸ってるところに転がりこんできた非日常の予感。今日という日に価値を見出したかったのかなぁと思います。なんとなく共感。

いやまぁしかし、疲れる映画でした。

映画の内容も中島の語りもどこか抜け落ちていて、ピースの足りないパズルをしているような歯痒さがよかったです。

「地獄はここにあります。頭の中、脳みその中に。」という『虐殺器官』のセリフがよく似合う映画でした。




追記:
中島のキャラクターは『マン・ダウン 約束の戦士』という映画の主人公を思い出してしまいました。両方のネタバレになってしまうので何も書けないけれど。

追記2:
足を怪我していてその歩き方は逆にしんどそうだなと思いました。