ごい

ヒューマン・ポジションのごいのレビュー・感想・評価

ヒューマン・ポジション(2022年製作の映画)
3.9
心に寄り添うヒーリングムービー

町並みが美しくて、どこを切り取っても素敵な感じ
ただ関連するテーマは、明るく可愛いというわけではない。

主人公のアスタの抱える心情に呼応するかのごとく、無人で動かないショットが多く、喪失感や虚無感が伝わってくる。
それでも時折差し込まれる可愛い猫やパートナーとの何気ない日常にはじんわりとした温かさがあって、その生活感が自然で良かった。
(何か悩んでいる人間が四六時中に辛そうな顔をするわけではないし、楽しいことや趣味や生活に集中する時間だってあるもんね)

パーソナルな点以外にも、福祉国家ノルウェーにおける移民問題についても考えさせられる話だった。(他の多くの国々よりは相当進んでいるなとは思ってしまうけれど)

パンフレットによると、監督は最近ケリー・ライカートの映画が好みらしく、確かに静かな雰囲気が似ているかも!
あと、囲碁と箸と柔道着と小津っていう日本文化のごった煮描写は、相当好きなんだな~~というのが伝わってきて可愛かったな笑

※この作品の舞台であるノルウェーのオーレスンという街がとても綺麗だったので調べて観たらびっくり。20世紀初頭に街が火災で壊滅状態となり、ヨーロッパ中の建築家の手によって復興したんだとか。その当時流行っていたのがアール・ヌーヴォー建築だったらしい。まだまだ知らないことはたくさんあるな。。。
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