このレビューはネタバレを含みます
1945年、焼け野原となった東京に戦争から帰った敷島浩一は、闇市で赤ん坊を抱えた大石典子と出会い、共同生活を始めることに。それから2年後、馴染み始めていた生活が巨大生物・ゴジラの侵攻によって一変する…
面白かったです。
予告で見た通り、殺気マシマシに街を破壊しまくるゴジラがとにかく恐ろしい。
今作、かなり人物描写に力を入れていたのが特徴的。「戦後」という何もかもが無くなってしまった時代。戦争から帰った者。空襲の被害にあった者。出兵していない者。人々がどのように生き、どのように苦難を乗り越えて成長していくのか、というところを丁寧に描いていました。丁寧すぎるくらい。
特に神木隆之介演じる主人公・敷島。特攻隊員だが、死への恐怖から特攻から逃げてしまった上に、ゴジラという脅威を前に足がすくんで何も出来なかった、という二つの後悔が戦争から帰っても忘れることができずにいた。
その恐怖そのものであるゴジラが、再び敷島の前に現れ、東京の街を襲った時、ゴジラと闘うことこそが、俺の中の「戦争」を終わらせることなのだと決意を固め、立ち上がる。
そういった戦争から帰ってきて後悔が残っていた者たち、戦争で何もできなかった者たちが、街だけでなく、自分達の為にも、恐怖の象徴であるゴジラに立ち向かうという構成が熱いです。
ゴジラに関しては、冒頭からもう怖い。思っていた以上にぬるぬる動くので、口がポカーンとなりました。
しかし、予告での街の襲撃が個人的にはピークでしたね。あの容赦なく、人が大勢走り回っているところを踏み潰したり、街を尾で崩れさせたり、電車を口で投げ飛ばす描写を劇場で初めて観たかったですね。
個人的に印象に残っているのが、54年のゴジラオマージュであろう、ゴジラの目の前で状況を実況するアナウンサーの場面。これは鳥肌立ちました。
目立って違和感あるところもなかったので、普通に楽しめました。予告抜きで観たかったなあ〜。